第64回演奏会

64th concert thumb

日程:2019年8月12日(月・休) 13:30開演(12:45開場)
会場:習志野文化ホール
指揮:金子 建志
演目:

  • コープランド/交響曲第3番
  • ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」

当日券あり(全席自由: 1000円)

前売券販売所:

  • 習志野文化ホール(TEL 047-479-1212)
  • 伊藤楽器 北習志野(TEL 047-465-0111)

受け継がれたものと受け継つがれなかったもの -アメリカ音楽の創出-

ボヘミア(チェコ)に生まれたドヴォルザークはヨーロッパで作曲家としての名声を確立した後、招かれてアメリカ合衆国に渡り、ニューヨークの地で作曲を教えることとなる。19世紀も終わりに近いその頃のアメリカ合衆国は、新興国として沸き立つエネルギーに満ち溢れていた。その地でドヴォルザークが作曲したのが、《新世界より》。この交響曲において、ドヴォルザークは必ずしも「アメリカ的」な音楽を書いたわけではないが、「アメリカ的」な音楽を捜索する際の一つの方法論を示す。

そして20世紀。2回目の世界大戦が終わるころには、アメリカ合衆国は政治的にも経済的にも、ヨーロッパ諸国を差し置いて世界の最強国に躍り出る。ここで必要とされたのが「アメリカ的」な音楽だった。クラシック音楽における「アメリカ的」な音楽とは?その問いに真正面から挑戦したのが、アーロン・コープランド。実は、コープランドはドヴォルザークの孫弟子にあたる。ドヴォルザークの教え子が、コープランドの作曲の先生だったのだ。しかし、聞けばすぐにわかるように、ドヴォルザークの音楽とコープランドの音楽は趣を全く異にしている。コープランドはドヴォルザークからの教えを受け継がなかったのか。しかし、確かに受け継いだものもあるだろう。受け継いだものと受け継がなかったもの、伝統と革新。クラシック音楽という、ヨーロッパからの深い流れに乗りつつも、コープランドが新たに創出しようとした「アメリカ音楽」とは―。

2019年1月に《レニングラード》で習志野文化ホールを興奮と熱狂で満たした金子建志と千葉フィルが、ロシアから一転、今度はアメリカものに挑む。特にコープランドでは、近年になって再評価が進む原典版エンディングでの演奏となる。コープランドとドヴォルザークという、相反すると思われる二つの交響曲を続けて演奏するという、このスリリングな試み。ロシアからアメリカへ。今度の千葉フィルもまた、聞き逃すことが出来ないだろう。

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