デュカ (1865~1935・フランス) 舞踏詩 《ラ・ペリ》

 

曲はホルンの信号③と、半音階が非西欧的なアラベスクを織りなす木管による④が、古代ペルシャの神話の世界に誘う。イスカンデルは⑤aには、ヴァイオリンのオブリガートがきらびやかな王の装束を表すかのようにまとわりつく。

laperi0304

laperi05a

ペリの持つ蓮の花⑥aはチェロ他で優美に表され、それを見たイスカンデル⑤aは動揺。一旦、静まった後に続く⑥aの反復による長大な登り坂は、不死の象徴たる蓮のエメラルド色の輝きと、ペリの美しさに魅せられていくイスカンデルの興奮を表す。

laperi06a

laperi06b

⑦はイスカンデルによる蓮の略奪。最初、ヴァイオリンのトレモロが蓮を密かに盗み取ろうとする気持ちを描き、金管のグリッサンドによる咆哮が、略奪を決定的に刻印する。

laperi07

この略奪によって曲は4拍子の修羅場に突入。多彩な打楽器群を一気に爆発させた極彩色のトゥッティによる⑧が、赤い輝きに変わった蓮の花を表す。

laperi08

「ダンス」と記された⑨は、蓮を奪還しようとするペリの踊り。これを拒もうとするイスカンデル⑤aとの絡み合いは、シロフォンの付点リズム⑩等を交えながらバッカナール的な興奮を高めていく。

laperi09

laperi10

その頂点となる⑥bは⑥aの拡大型で、奪還された蓮を表す。「その時、蓮の花は夕日に照らされたエルツブルグの頂きの雪のように黄金色に輝いた」とある原詩そのままの壮麗なクライマックスの後、曲は、既出主題を回想しながら弱まっていき、不死の願い叶わず臨終の時を迎えたイスカンデルの死 ⑤bを静かに暗示した後、ホルンによる③を3度繰り返して、消えるように結ばれる。

laperi05b

(金子建志)

  • 1
  • 2

タグ: デュカ

関連記事