シベリウス (1865~1957) 交響詩 《エン・サガ》

sibelius-photo-thumbシベリウスは1865年生まれなので今年が生誕150年のアニバーサリー・イヤーにあたる。《エン・サガ》はシベリウス初期の作品にあたり、1892年に一旦作曲され、その後1902年に改訂された。普段演奏されるのはこの改訂稿であり、本日もこちらで演奏する。同じ交響詩でも、有名な《フィンランディア》(1899、1900)が美しいメロディと力強さに溢れ馴染みやすい音楽となっているのに対し、この《エン・サガ》は、茫漠とした幽玄の世界といった趣であり、途中盛り上がるところもあるが最後は静かに終わる。しかし、シベリウスの確固とした美意識・世界観が強く感じられる作品でもあり、この後に続くシベリウスの作品を予告しているようでもある。

 

 

後述のように金子氏は交響曲第2番 第2楽章の源泉と捉えているが、これに加え筆者は単一楽章という構成でシベリウス最後の交響曲となった交響曲第7番との類似も強く感じる。交響曲第7番の複雑な書法に対しこの《エン・サガ》は繰り返しも多いシンプルな技法であるが、凝縮した中に確固とした世界観を感じさせる点は非常に似通っているように思う。シベリウスのアニバーサリー・イヤーの幕明けを飾るに相応しい、シベリウスの出発点にあたる初期の傑作である。

(中田麗奈)

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