チャイコフスキーの交響曲第3番は、4番以降の交響曲作品と比較して演奏頻度は少なく、千葉フィルでも4番以降をいずれも再演しているのに対し、3番はこれが初だ。とはいえ、チャイコフスキーの多くの傑作が生みだされた時期と重なり、音楽的魅力が詰まっている。ただ、詰まっているというよりあふれている、あるいは若干とっ散らかっているともいえる感じがあるのも事実で、後年のドラマチックな構造物を期待すると面食らう。
そこで本稿は、3番の魅力的素材をピックアップして、聴き逃さないためのガイドとしたい。
第1楽章 Introduzione e Allegro: Moderato assai (Tempo di marcia funebre) - Allegro brillante
一般的に交響曲の第1楽章は、その作品の性格を決定づける。ところが、この交響曲第3番は、肝心の第1楽章で、まさにその「とっ散らかり」を見せており、聴く側が戸惑う。なので、ここは素直に「とっ散らかってるよなぁ」と思いつつ、聴き所を押さえた方がいい。
主部は明るく快活。それを際立たせているのが対照的に陰鬱な長い序奏部だが、素材感を残したままの冒頭は、4番以降の演出された導入とは異なり、演奏者側の難易度を上げているようにも思える。とはいえ、木管楽器と重ねるピッチカートは、これより少し前に作曲された幻想序曲〈ロメオとジュリエット〉の序奏部を彷彿とさせ、本編への期待感が膨らむ。
次第に速度を上げて主部に突入すると、序奏部で部分的に用いられてきた断片を伴う第1主題①が全奏で提示される。基本的に4分音符で構成される四角い音楽なので、他の主題とコントラストがあるとはいえ、どうもつなぎが悪い。

オーボエによる第2主題②は、切れ切れの優美な旋律。ヴァイオリンで甘美に展開すると思いきや消化不良のまま次へ。ファゴットの8分音符の連続したE音の上に、クラリネットが主題の変化形を奏でる③。ビート感を増し、序奏部では荘厳な中で奏でられたピッチカートが、活気をもたらす役割へと変化。音楽は一気に快活さ全開となり、展開部へ突入する。


ちなみにE音の同音反復と同じようなパターンは、すでに序奏部にA音の繰り返しとして出現している。このパターンは後の楽章でも出現するが、チャイコフスキーらしさを感じさせるポイントのひとつだ。
再現部では、型通りに第1主題が奏でられると思いきや、トランペットがfffで主題を高らかに鳴らす。いいぞいいぞと思ったのもつかの間、次の主題へと移る。消化不良感を解消してくれるのは第2主題で、提示部とは異なり甘美な時間を満喫できる。続く第3主題はチェロのシンコペーションで、もはや8ビートを隠すことなく、その勢いのまま盛り上がり、コーダへと至る。テンポを上げたコーダは分かりやすく、楽章を締めくくる。