日程:2011年8月 会場:習志野文化ホール
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曲目解説
グスタフ・マーラー (1860~1911)交響曲第3番 ニ短調
マーラーの交響曲は自然描写の宝庫。例えば鳥の囀りなら、殆どの作品で聴くことができるが、 この〈3番〉がその頂点に立つのは明らかだ。特に、前半の3楽章は、マーラー版の『アルプス交響曲』と言っても過言ではない。それは、以下のような成立事情が深く関わっている。
1891年からハンブルク市立歌劇場の指揮者を務めていたマーラーは、93年から歌劇場がシーズン・オフとなる夏の間を、アルプスの避暑地、アッター湖畔のシュタインバッハで過ごすようになる。旅館に部屋を借り、妹や女友達N.B.レヒナーに雑事を任せて作曲に専念する“夏休み作曲家、マーラー”の誕生だ。
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ヴィスコンティとマーラー
この春、マーラーを主人公として描いた映画が公開された(『マーラー 君に捧げるアダージョ』 パーシー・アドロン&フェリックス・アドロン監督、2010年作品。)私は未見だが、見た人の評判を聞くと、概ね良い作品のようである。この映画の音楽は、マーラーの交響曲第10番の第1楽章が主に使われたようだが、映画に使われたマーラーの音楽といえば、まず真っ先に名前が出るのはこの作品であろう。『ベニスに死す』、ルキノ・ヴィスコンティ監督、1971年作品。退廃美、醜さと背中合せの美しさを圧倒的に描いたこの作品では、劇中音楽としてマーラーの交響曲第5番第4楽章が主に使われている。それはまさに、もう一つの主人公ともいえる程の強烈な印象を見る人に残すものだが、映画『ベニスに死す』では、他にもマーラーの音楽が使われている。5番4楽章の存在感(と使用頻度)に隠れがちだが、交響曲第3番の4楽章もまた、ヴィスコンティは、映画『ベニスに死す』に使っている。