日程:2014年8月10日(日) 13:00開演(12:15開場)
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プログラム紹介
デュカ 舞踏詩 《ラ・ペリ》
ロシア・バレエ団の主催者ディアギレフはバレエの為の音楽を当時の新進気鋭の作曲家に依頼し、結果として歴史に残る名曲がたくさん誕生することとなった。デュカの《ラ・ペリ》もそんな中の一曲。このバレエ公演は実現しなかったが、音楽は作品数の少ないデュカの代表作の一つに挙げられる傑作となった。古代オリエントを舞台としたバレエは、妖精ペリが持つ不老不死の花をめぐる物語。この幻想的な物語に、デュカは後期ロマン派の爛熟したオーケストラの響きに同時代フランスでドビュッシーが展開していた透明なハーモニーの香りを加えた。また、バレエ用に作られた音楽に、演奏会用としてデュカはファンファーレを付け加えた。冒頭に置かれたこのファンファーレは、音楽が始まる気分を盛り立てる。今回はこのファンファーレとバレエ用の音楽を一揃いでお送りする。
スメタナ 連作交響詩 《我が祖国》
ヨーロッパのちょうど真ん中にある国、チェコ。美しい自然と中世の街並みを残す古都プラハ、そして美味しいビール。訪れた方も多いであろうこの国の歴史は、しかし激動の歴史でもあった。その激動の歴史の渦中にまさにいたスメタナが、チェコの歴史と自然、そしてそこに住む人々の姿を、誇りを持って描きあげた6曲の交響詩。これが《我が祖国》である。
2曲目の《モルダウ》は有名であろう。プラハを流れるモルダウ川(チェコ語ではヴルタヴァ川)とそこに集う人々の様子を美しく豊かなメロディで描ききった傑作である。しかし、美しさでは第一曲目の《ヴィシュフラット》も負けてはいない。冒頭、2本のハープが奏でる美しい響き。第3曲目《シャールカ》は一転、チェコの伝説に伝わる烈女の物語を描いた激しい音楽。チェコの豊かな自然を音楽で描いた第4曲目《ボヘミアの森と草原より》。
そして、チェコの苦難の歴史。中世のチェコを襲った民族的受難であるフス戦争を描いた《ターボル》。抑圧された民族の歴史。重苦しい気分のまま終わる《ターボル》に引き続き、休みなく演奏されるのが終曲《ブラニーク》。苦難の末の、輝かしい勝利。《ブラニーク》の最後の盛り上がりの部分で奏でられるのは、《ヴィシュフラット》冒頭でハープによって奏でられたメロディである。長い全6曲の最後に戻ってきたこのメロディが感動的に鳴り響く時、私たちはスメタナの祖国にかける想いに心を打たれることだろう。