コープランド 交響曲第3番の楽曲解説

Ⅱ楽章 ハ長調 2/2 3部形式 スケルツォ

ホルン群が第1主題④をユニゾンで強奏。これに他の金管や打楽器が鋭く楔を打ちこむ。このファンファーレにスケルツォ風な⑤が続く。

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4/4に転じてからは勇壮なマーチ⑥。コープランドは、作品全体について「当時のアメリカの高揚した国民感情を表現することを意図したもの」と述べているだけだが、この楽章はⅠ楽章の壮大な高まりを、描写音楽的に継承・拡大した音画さながらで「④出航する海軍を送るファンファーレと祝砲 → ⑤驚いて舞う海鳥の群 → ⑥高速で外洋を疾駆する戦艦」といったニュース映画を観るようだ。⑦はスケルツォ風な⑤の変奏。

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中間部⑧は3/4の緩やかなトリオで、定石どおり牧歌的で雄大な中間部となり、A-B-Aの三部形式を形成。⑥のマーチが再現された後、⑧がカノン(重層的な模倣)で壮大な頂点を築いて結ばれる。コーダで打ち鳴らされる4音連打のリズム主題は、今聞くと大袈裟だが、太平洋でも欧州でも、圧倒的な物量が勝敗を決定づけた史実を、音響で見せつけられた感がある。

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