コープランド 交響曲第3番の楽曲解説

Ⅲ楽章 ニ長調  5/4

冒頭で第1ヴァイオリンが奏する主題⑨aが、この楽章の鎮魂的性格を決定づける。⑨aはⅠ楽章で勇壮に繰り返された③aの『祈り』的変容。⑨aを第2 Vnが受け継ぐ⑨bは、⑨aの上下を逆にした鏡像で、こうした対位法的な反行形への拘りは、構造的な交響曲たらんとする意志表示。

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c3 09b

弦による長大な祈りを受け、ファゴットが⑩で疑問を投げかける。⑩は、A-B-C-B-Aという構造の「Aの回想=コーダ」で再現されると、後悔の念が一段と強まる。この心からの叫びこそは、コープランドが最も訴えたかった思いだろう。

c3 10

フルートが呈示する⑪はワルツ風に姿を変えながら、暗く始まった場を明るい方向に誘導。陽転した後は、変拍子の⑫が軽妙に舞う。この⑪ ⑫の陽気な登り坂が頂点に達すると、付点リズムが先導する⑬がスケルツォ的性格を決定づける。⑬に4音連打のリズム主題を絡めているあたりも、シンフォニックな拘りだ。

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