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茶の花姫の気を惹こうとするコーヒー王子。ココア王子とその取り巻きドン・ツッケロ(砂糖)
6. コーヒーの踊り(夜曲) コーヒー王子が付き人を従えて踊る『ノットゥルノ』は、砂箱とカスタネットによるコミカルな⑩で始まる。
王子の口説き⑪a・⑪bは、どちらもコミカルで、狂言回し的なトロンボーンによるギャグ的なグリッサンド⑫が笑いを誘う。
7. トロイメライ(夢) コーヒー王子の夜曲(ノットゥルノ)。場面は一転、ロマンティックになり、王子の口説き⑬aはより真剣に。ヴァイオリンとチェロのソロがオペラの“愛の二重唱”のような甘美なデユオを繰り広げる。
R.シュトラウスが、この場面⑬a・⑬bを前半のクライマックスにしようとしたのは明らかで、ハープの流麗な分散和音だけでなく、和音の音色変化を意図して特殊な楽器ハルモニウムを加えている。ハルモニウムは可搬性の足踏みオルガンで、マーラーも交響曲第8番の静謐な場面で効果的に使用。今回、この部分だけのためにレンタルしてもらうことになるが、大音量で主張する楽器ではないので、注意してお聴き頂きたい。
愛の陶酔は、導入部⑩・⑪a・⑪b・⑫の付き人達のコミカルな再現で締め括られる。
8. カカオの踊り~9. 砂糖の入場と踊り~10. 砂糖・コーヒー・カカオの輪舞 ⑭に乗ってココア王子(カカオ)⑮が登場。その従者、太鼓持ち的な従者の砂糖=ドン・ツッケロはピチカートによるポルカ⑯。前の場面の陶酔に浸っている茶の花姫⑧とコーヒー王子⑬aに割って入ろうとするが、この道化的でひょうきんなポルカが、この場面全体をコーダ的に閉じる。