R.シュトラウス バレエ〈泡立ちクリーム〉 作品70(台本:R.シュトラウス)

第Ⅰ幕のフィナーレ

11. 泡立クリームのワルツ 4人が立ち去ると巨人のようなロボットのコックが登場し、大きなボウルの中で「泡立クリーム=生クリーム」を作り始める。「泡立ちクリーム」の主題は、導入部に続いて⑰aのように始まるが、重要なのは伴奏部。曲が進むに連れて、これが⑰bのように繋がってくるのだ。これはミルクを叩いて掻き回しているうちに、次第に粘着性が増して、生クリームが出来上がってゆく様子を具体的に表していると考えられる。

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曲は緩やかなワルツ主題2 ⑱や主題3 ⑲等を織りまぜながら次第に加速してゆくが、叩くような描写もリアルで、実際に厨房に入ってケーキ職人の作業を見て学習したような説得力がある。雄大な⑳等を経て、曲は加速し、遂にクリームは出来上がるが、コーダ近くの異様な盛り上がりは通常のワルツの範疇を越えており、ワーグナーの〈ジークフリート〉第I幕で、神剣ノートゥンクが鋳造される山場さながらの燃焼に到達する。

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