1 / 7
〈6番〉の翌年1905年、45歳の時に完成。〈大地の歌〉を完成した08年(48歳)、プラハでマーラー自身の指揮により初演された。
〈6番〉で古典的な4楽章形式に挑戦したマーラーは、最も得意とする5楽章形式に戻している。調性的には第1楽章から第4楽章までが短調、第5楽章で長調に陽転するという“暗→明”の図式が特徴だが、第2・第4楽章に「ナハトムジーク・夜の歌」と題した楽章を置いたのが新機軸で、それを印象づけるべく第4楽章にはマンドリンとギターを使用。オーケストレーションは更に色彩的になり、第1楽章では新たな楽器、テナー・ホルンをソロ楽器として用いている。
第1楽章 ロ短調→ホ短調 4/4・2/2拍子 ソナタ形式
マーラーは、妻アルマに当てた手紙で、作曲時の05年夏を回想し「湖でボートに乗り、オールを漕いで動き始めた時、第1楽章序奏部の主題が心に浮かんだ」と記している。4/4拍子に始まる曲頭の ① がそれ。弦によって反復される ①b は、リアルにオールの往復運動を描写しており、テナー・ホルンが奏する ①a は、夜明のひんやりした湖面から感じ取れる呼び声のように聴こえ、トランペットによるファンファーレ ①c は、より鋭く突き刺さる。
テナー・ホルンはユーフォニウムやワーグナー・チューバに似た形の楽器で、トロンボーン奏者によって奏される。マーラーは〈2番〉や〈3番〉で、トロンボーンに、長大なモノローグを吹かせていたが、このソロは、それを拡大したものと言えよう。
主部の第1主題 ②a は、先ずトロンボーンで提示され、2/2に転じた ②b でホルンによって、英雄的な性格を確定させる。トライアングルが伴奏する ②c は、典型的な騎馬のリズムだ。