マーラー  交響曲第7番 ホ短調 《夜の歌》

弦による歌謡主題 ③a では、ロマンティックな世界へ転じ、室内楽にスリム化された ③b では、より繊細な描写となる。トランペット群が呼応しあう ④ がマーラーならではの位相転換をもたらし、ハープの分散和音を特徴とする ③c が、幻想的な性格を確定させる。この ③c は、ワーグナーの〈ワルキューレ〉第Ⅰ幕で、開いた大戸から月光が射し込む愛の場面に影響を受けた可能性が強い。第1楽章で、最大の聴き所と言って良いだろう。

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コーダ ⑤ では3/2拍子となり、既出主題が重層的に重ねられ、高揚感の中に結ばれる。グロッケンシュピールの金属音が、最先端のメタックな輝きをもたらしているのも鮮烈だ。

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