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第4曲 《ボヘミアの森と草原から》
再び、情景描写的な標題音楽に戻るが〈モルダウ〉と違って、個々の部分に言葉による説明は無い。
先ず「平原の風」を表すように揺れ動くト短調・2/4の(22)で始まり、クラリネットが哀愁を帯びた(23)を吹く。牧童の孤独を表すようなこのドゥムカ風のブリッジ(23)を経て、オーボエとファゴットによるト長調の牧歌が、束の間の安らぎをもたらす。
3/4拍子に転じ、フーガになるが、この主題(24)は、ヴィシェフラド①aの反行型から導き出されたものであろう。フーガが一段落するとホルン他が、息の長い主題(25)で広大な「森」を描く。この第2の部分は、フーガ(24)が再現の度に間隔を詰めるストレッタの技法で短縮され、「森」(25)は3現でトゥッティとなり雄大な頂点を築く。
第3の部分は2/4拍子の「ポルカ」(26)。収穫や婚礼などを思わせる陽気な祭りの舞曲は、無礼講的な盛り上がりをみせ、急テンポの新たな舞曲(27)を導く。この後は既出主題の再現による激しいコーダとなるが、嵐のような追い込みの中で(23)ドゥムカの強奏が不吉な影を投げかける。