プロコフィエフ ロメオとジュリエットの楽曲解説

 

5 朝の踊り(第3組曲-2)

コール・ド・バレエによる群舞の見せ場。「朝の街」⑨が、ヴェローナの朝の広場の活気を表し、人々は力強い⑩と、小唄風の⑪を踊る。

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6 メヌエット(客人たちの登場) (第1組曲-4)

キャピュレット家の夜会=仮装舞踏会に招かれた客人達の踊り。入場の音楽を思わせる冒頭のメヌエット主題がロンド主題的に群舞として繰り返され、客人達の踊りは、それぞれ性格の異なったソロ・ダンサーの踊るクープレとして次々と変わり、賑わいに華を添える。

7 仮面(第1組曲-5)

ロメオ、マーキュシオ、ベンヴォーリオの親友3人組は、仮面を付けて敵方の屋敷の舞踏会に客として紛れ込む。陽気で冗談好きなマーキュシオの性格は、〈真夏の夜の夢〉の悪戯好きの妖精パックと瓜二つの、マブの女王を絡めた台詞をシェイクスピアが語らせていることからも明らかで、プロコフィエフはそれを⑫として描く。

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他にも仮面の者は大勢いるので敵方とは気付かれないが、独り、タイボルトは声からロメオだと特定。決闘を始めようとするがキャピュレットにたしなめられ、騒ぎには至らない。

一方、ジュリエットに一目惚れしたロメオは、巡礼と名乗って近づき、接吻を交わす。その直後、ロメオは、乳母の言葉からキャピュレットの娘だと知るが、恋の炎を消すことはできない。一方のジュリエットも恋に落ち、乳母から、敵方モンタギューの息子と聞かされて愕然とするが、もはや手遅れだ。

8 マドリガル(第1組曲-3)

マドリガルはイタリア発祥のポリフォニックな声楽曲で、イギリスに伝わって独自の発展を遂げた。この場合は後の「セレナード」と同じ「愛の歌」と思えばいい。音楽は⑬「ロメオへの想い」で始まり、②「優しいジュリエット」とその変奏、更に新出の⑭「愛の目覚め」と続き、ジュリエットに芽生えた恋心を繊細に描き尽くす。全曲版のNo.16をそのまま転用したこの曲は、プロコフィエフ流ロマンティシズムの白眉と言えよう。

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9 ロメオとジュリエット(第1組曲-6)

夜、ロメオが屋敷に忍びこんできているのも知らず、窓辺から「ロメオ、どうして貴方はロメオなの」「自分の名は、お父上とは無関係と言ってくだされば、私もキャピュレットの名を捨てます」と独白するジュリエット。

それを聴いて姿を現すロメオ。

相愛を確かめあった二人が、式を挙げようと誓うまでに至る『バルコニーの場面』は、胸の鼓動を暗示する伴奏に乗った⑮「ロメオへの呼びかけ」に始まり、駒の近くをこする弦の不気味なスル・ポンティチェロが、忍んできたロメオを表す。

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問いかけたジュリエット②は、声でロメオだと確信。音楽は、完全に恋人達だけの世界となり、一気にスケールが拡大する。⑭「愛の目覚め」から、より雄大で確信に満ちた⑯「愛の抱擁」へと続いて頂点が築かれた後、③が愛を受け止めたロメオの雄々しさを表し、⑮の再現を経て消えるように結ばれる。

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