シベリウス 交響曲第1番 ホ短調 作品39

第2主題群は、妖精が姿を現したような⑤が、小鳥の囀り⑥を導き、さざ波のような細かなシンコペーション⑦aが、雄大な流れ⑦bを支える。この⑦bは第1主題群②の変容に他ならない。

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木管の⑧が先導して展開部に。ピチカート、ハープ、⑥のティンパニによる「運命主題」等の既出モティーフが重なり合う。雪が崩れ落ちてゆくような下降音型⑨を撥ね除けてヴァイオリン他が第1主題④b2を力強く歌い上げる辺りは、構成としても見事。楽章中盤で激しくアクセルを踏む「序破急」的な加速構造は、シベリウスの個性を際立たせている。暗明どちらに進むか予想できない展開は、コーダで暗に向う。下降ベクトルの最後⑩は、低弦をピチカートが断罪するかのように断ち切って終わる。

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