R.シュトラウス アルプス交響曲の楽曲解説

4)森に入る 欝蒼と繁る樹木の闇を示すかのようにハ短調に転じる。森⑥には〈ドン・キホーテ〉が見え隠れし、木管は鳥の囀り⑦を模倣する。弦を室内楽に絞ったあたりからは〈バラの騎士〉⑧が顔を出す。

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5)小川に沿って歩く 変イ長調。〈モルダウ〉の中間部を思わせる『せせらぎ=波』は次第に大きな流れに膨らんでゆく。

6)滝 二長調に転じ、流れは岩壁④からハープやチェレスタの飛沫をあげて落下する。

7)幻影 水飛沫が霧となり虹が現れる。ヴィオラのソロにチェロが絡む二重協奏曲的な⑨をメタリックに彩るヴァイオリンやハープの下降グリッサンド⑩は〈ヨゼフの伝説〉の砂金の動機と同じ。その美しさに打たれる心は、最後に登場する歌謡的な感動の動機⑪aで示される。アウフタクトを特徴とするブルッフのヴァイオリン協奏曲のⅡ楽章⑪bが原型で、更に遡るならパガニーニの〈1番〉のⅠ楽章の副主題に行き着く。

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