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第2楽章 (第Ⅰ部) イ短調 2/2
一旦、葬儀を終えたあと、戦場での故人の闘いぶりを、フラッシュバック形式で、より克明に描いた標題音楽的楽章。「嵐のように動的に、最大限の激烈さで」という記述のように冒頭④から痙攣気味に伸縮して始まり、追い立てられるような前傾姿勢⑤での突撃を繰り返す。
束の間の静寂の後、木管による悲嘆のブリッジ⑥が、チェロによる嘆き⑦を導く。こうした交替が繰り返されるたびに、逃げ場の無い戦場に取り残されたような⑦はモノローグ的な深刻さを増し、戦闘は一段と激化。⑧が、空元気的な進軍を促すが、戦闘が再開すると「運命主題」は砲弾さながらに激しく飛び交い、戦場を覆う悲嘆⑨は、慟哭と化す(弓いっぱいに反すという指示は、今回、一工夫している)。
ここまでは第1楽章で呈示された主題の性格を極限まで変容・拡大した一種の変奏とみなせるのだが、トランペットによる⑩が、台風の目に入ったかのように突然の陽転をもたらす。地獄に引きずり込むような下降ベクトルも一気に上昇に転じ、輝かしい天上界が垣間見えたようにも感じるが、ここでは「それが何か」という答えは与えられないまま、再び暗雲の中に引き戻され、低弦のピチカート→ティンパニが疑問付きのピリオドを打つ。