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第5楽章 ロンド・フィナーレ ハ長調 4/4
ティンパニの連打 ㉔ が夜の扉を開け、陽光に照らされた昼の世界に聴き手を導く。ハ長調というせいもあるが、ワーグナーの〈ニュルンベルクのマイスタージンガー〉の終景、野外での歌合戦が始まったかのような壮麗さが素晴らしい。第1楽章から第4楽章まで続いてきた「夜」が、一気に陽転したのだから、その効果は絶大だが、ユダヤ的には「過ぎ越しの夜が開けた朝」の歓びのイメージなのかも知れない。金管による主題 ㉕ は、リズムも輪郭も〈マイスタージンガー〉に酷似。弦による ㉖ ㉗ も4拍子の力感に溢れている。
大砲を次々と発射する艦砲射撃さながらの開始部が一段落すると、オーボエが新たな主題 ㉘a を導く。レハールの〈メリー・ウィドウ〉との類似を指摘されるこの歌謡主題は、㉘b のようにも変容。
この楽章は、同傾向エピソードが一段落すると鉈で断ち切るように区切り、新たな展開が始まるような構造になっているが、〈メリー・ウィドウ〉似の ㉘a・㉘b の後は、3/2拍子に転じ、落ち着いた感じの ㉙ を導く。同じ3/2を継承する ㉚ は、より優雅だ。4/4拍子になってからの ㉛ ㉜ は、2・4拍子系の堂々たる歩みが戻る。