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Ⅳ楽章 ニ長調 4/4 複合三部形式
② を顔とする激しい導入 ⑬ がⅠ楽章への回帰を示した後、ファンファーレ ⑭ が新たな世界の到来を告げる。チャイコフスキーの〈5番〉や、ラフマニノフ自身による〈2番〉へと繋がる、フィナーレでの陽転だ。舞曲的な主部 ⑮ は、木管によるサルタレロ風な ⑯ を経て、壮大な ⑰ で新たな頂点を築く。〈2番〉では、各楽章に、こうした間欠泉が吹き出したような息の長い表出が何度もおとずれるが、〈1番〉では、ここと再現部の2回のみ。それでもファンは、十分にラフマニノフ節を堪能できることだろう。
低弦が導く3/4拍子の中間部では、オーボエが民俗的な世界 ⑱ に遊んだ後、Ⅱ楽章のスケルツォがより劇的に再現され、Ⅲ楽章の ⑩b 等も含めた既出主題が絡みあいながら循環形式的な山場が築かれる。この波状攻撃的な語り口は、聴き所の一つ。
4拍子に戻った再現部では、⑬ の繰り返しに収斂した頂上部を、ティンパニが「運命主題」で断ち切った後、死の象徴としてのドラが静かに鳴り響く。
コーダは、ストーリー的に追いかけてきた聴き手に、下駄を預けるような形。〈ディエス・イレ〉による⑲ は哀調を帯びているが、その後の盛り上がりは苦みを打ち消すように明るく壮大。原主題 ② とⅡ楽章の ⑥a を組み合わせて結論とした断言的な物言いを繰り返した後、ニ長調の主和音で結ばれる。