ショスタコーヴィチ 交響曲第7番〈レニングラード〉の楽曲解説

Ⅱ楽章─ロ短調 変拍子 3部形式のスケルツォ

主部の主題⑨は素朴な農村の風景を思わせる。リズムも牧歌的で〈1812年〉の⑦の平和時の描写に繋がる。この楽章の主役はオーボエで⑩のように祈り、同属楽器のイングリッシュ・ホルンが続く。

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ブラームスの〈2番〉のⅢ楽章に似た、牧歌的な主部に快速のスケルツォが挟まった構成で、嬰ハ短調に転じた中間部⑪は、速い3/8のワルツ的な3拍子の中と、ハ長調の行進曲が交替する。トランペットのファンファーレが先導する2/4の行進曲は、明らかにマーチだが、戦闘が再び始まったわけではなく、子供達が格好良いアルカラの龍騎兵を真似て遊ぶ〈カルメン〉の第一幕や、戦争ごっこのそれだ。

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第1ヴァイオリンの⑨で始まる再現部は、バス・クラリネットによる⑩を、低音域のフルート2本+アルトフルートの三重奏が伴奏する怪奇な音色が聴きどころ。この楽章についてショスタコーヴィチは「愉快な出来事や、人生の喜ばしいエピソードについての想い出である。悲哀の軽いもやがそれを包んでいる」と述べている。

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