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ショスタコーヴィチ - 千葉フィルハーモニー管弦楽団

オストロフスキーとレスコフ、そしてショスタコーヴィチ  ~ショスタコーヴィチを巡る冒険~

leskov 120x170ショスタコーヴィチにとって《ボルト》は依頼による気の乗らない仕事で書いた作品で、オペラ《ムツェンスク群のマクベス夫人》がこの時期のショスタコーヴィチにとって、一番書きたくて最も力を注いだ作品であることは別稿の通り。ここではこの《マクベス夫人》について、ちょっと述べてみることとしよう。

ショスタコーヴィチ (1906~1975) バレエ組曲 《ボルト》

ショスタコーヴィチとバレエ

shostakovich 120x170レニングラード音楽院の卒業制作として作曲した交響曲第1番の大成功によって名を知られる存在となったショスタコーヴィチは、しばらく舞台や映画音楽を中心に活動することとなる。舞台監督や映画監督の要求する音楽を極めて短時間に、しかも高い質で提供することが出来たショスタコーヴィチは、監督達にとって非常に貴重な存在となった。映画音楽はこの後も生涯にわたってショスタコーヴィチが取り組み続けたジャンルとなり、この時期に出会った映画監督のコージンツェフの作品にはショスタコーヴィチは晩年近くになった時期にもタッグを組み、ショスタコーヴィチが音楽を付けたコージンツェフ監督の1971年の作品『リア王』はソ連映画の傑作の一つとして知られている。しかし、残念ながらバレエの分野ではショスタコーヴィチはそのような幸運な出会いを得ることが出来なかった。

ショスタコーヴィチ (1906~1975) 交響曲第7番〈レニングラード〉

その交響曲は誰がために

shostakovich 120px「心配することはない。私がいないと始まらないのだから!」その日、コンサート会場の前は混雑でごった返していた。その日の演奏会のチケットは完売だったが、諦めきれない人々が大勢押し寄せ、ちょっとした混乱状態に陥っていた。チケットを持っていた人でもコンサート会場の入り口に辿り着けず、そんな人の声を聞いての言葉だったのだろう。そのルーマニア訛りのドイツ語を耳にして、人々はその声の主を見た。そこにいたのはセルジゥ・チェリビダッケ。本日の演奏会の指揮者である。混乱は治まり、人々は指揮者の為に道をあけ、チェリビダッケはコンサート会場の中に消えていった。そして定刻より少し遅れ、演奏会が始まった。その日の演奏会はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の特別演奏会、指揮者はセルジゥ・チェリビダッケ。曲はソ連の作曲家ドミトリー・ショスタコーヴィチがつい5年前に完成させた交響曲第7番であった。その交響曲を、人々は捧げられた街の名を取って《レニングラード》と呼んでいた。

ショスタコーヴィチ 交響曲第7番〈レニングラード〉の楽曲解説

Ⅰ楽章─ハ長調 4/4 拡大されたソナタ形式

sym7 score 120pxハイドンやモーツァルトにも、展開部を新出主題による全く別の世界にする交響曲は存在する。このⅠ楽章は、その別世界的を異様なほど巨大化させたのが特徴だが、ソナタ形式の原理はほぼ確保されている。
冒頭の第1主題①をレニングラード音楽院時代の師シュテインベルクは「人間の主題」と呼んだ。全ての芸術を独ソ戦のために総動員させた政策を反映する“男性的で、人生を肯定する”この①は楽章内で何度も登場するだけでなく、Ⅳ楽章のコーダでも再現され交響曲全体を循環形式的に統一する。

ショスタコーヴィチ(1906~1975) ロシアとキルギスの民謡の主題による序曲 作品115

安定した地位

ドミトリー・ドミトリエヴィチ・ショスタコーヴィチ、57歳の時の作品。1963年作曲。ショスタコーヴィチは1975年に死去するので、既に晩年に入りかけた頃の作品であるといえる。その作曲家としてのキャリアにおいて、幾度と無く政治からの圧力を受け続け何度も苦汁を飲んだショスタコーヴィチであったが、この頃になると社会も一応の安定を見せたこともあり、西側にまで名声が届く大作曲家としての地位が確立し、生活もやっと平穏なものとなった。

 

第31回演奏会

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日程:2017年1月15日(日)13:30開演(12:45開場)
会場:習志野文化ホール
指揮:金子 建志
演目:

  • ベルリオーズ/序曲《海賊》
  • ショスタコーヴィチ/バレエ組曲《ボルト》
  • サン=サーンス/交響曲第3番《オルガン》

第63回演奏会

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日程:2019年1月12日(土) 18時開演(17:15開場)
会場:習志野文化ホール
指揮:金子 建志
演目:

  • チャイコフスキー/大序曲「1812年」
  • ショスタコーヴィチ/交響曲第7番「レニングラード」

当日券あり(全席自由: 1000円)

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前売券販売所:

  • 習志野文化ホール(TEL 047-479-1212)
  • 伊藤楽器 北習志野(TEL 047-465-0111)

ロシア、故郷は音楽とともに

今でこそクラシック音楽に占めるロシア音楽の存在感は大きなものがあるが、実はロシアのクラシック音楽が本格的に始まったのはちょうど19世紀に入った頃からで、その歴史はそんなに長いものではない。しかし、独特の才能達が現れロシア音楽の豊かな土壌を育み、そして遂に西欧の大作曲家に引けを取らない天才が現れ、ロシア音楽の「西欧に追いつき追い越せ」の時代は終わりを告げる。その天才がチャイコフスキー。《1812年》はナポレオンのロシア遠征とフランス軍の敗北とロシアの勝利を華やかに描いたチャイコフスキーの作品の中でも最も有名な作品の一つ。そして20世紀になって現れた天才、ショスタコーヴィチ。《レニングラード》交響曲は第二次世界大戦時、ドイツ軍に包囲されたショスタコーヴィチの故郷、レニングラードの街に捧げられた。砲弾が降り注ぐ街に鳴り響く交響曲。豊穣な文化と芸術を持つロシア。ロシアの人々は、故郷を愛し、そして音楽を愛した。たとえ命の危機が迫る戦場であっても。ロシアにとって音楽とは、そして芸術とは。

おなじみ金子建志と千葉フィルが今回はロシア音楽に挑む。両曲とも戦争にまつわる曲であるが、無論それだけに留まるものではない。その音楽の奥深くに秘められたものは…。

2019年1月、習志野にロシアの魂が鳴り響く。